久しぶりに「ゲーム」を見ました。
映画は大富豪の家のホームムービーから始まります。広大な敷地の邸宅で催された長男の誕生会。しかし父親はなぜか浮かぬ顔。長男ニコラスの顔のアップから、現在のニコラスの顔にカットが変わる。
投資銀行の社長になったニコラス(マイケル・ダグラス)、冷徹で嫌な感じの金持ちになった。今日は48歳の誕生日。あの父親が自殺した歳だ。久しぶりに問題児の弟コニー(ショーン・ペン)が訪ねてきてプレゼント代わりに謎のCRSクラブのカードを渡される。
商談で通りかかったビルにCRSのサンフランシスコ支部があるのに気付き、誘惑に負けて尋ねると、いきなりの適性検査。2時間のはずが1日拘束され、ある種のゲームだと説明され同意書にサインさせられる。
家に帰ると車寄せにピエロの人形が横たわっていて(ソウみたいなホラーか?)いつも見ている経済番組の有名キャスターが番組中に突然テレビから話しかけ、ゲームについて説明(SFか?)。次の日から小さなイタズラを仕掛けられる。
CRSでもらったペンはインク漏れでポケットにシミをつけ、言い負かしてやろうと臨んだ商談では重要書類を揃えたカバンが開かず、ウェイトレスにはワインを胸にぶちまけられ、目の前で人が倒れ、ウェイトレスとともに介抱して救急車に乗り、ついた病院では突然明かりが消えて2人以外の人が姿を消してしまう。。。大変なことに巻き込まれたと思った時にはすでに遅く、イタズラは実行不可能な規模に大きくなってニコラスの日常を侵食してくる。
信用や、命まで失いかねない事件に巻き込まれて、誰が仕掛け人なのかもわからない。ついには全財産を乗っ取られ、メキシコの片田舎に遺棄されてしまう。しかしニコラスはそこから反撃を開始する。
この映画はその後も予想を裏切る展開を続け、正直なところ、1度目は疲れて途中で見るのをやめてしまいました。2度目には最後まで見てなんだこういう話だったのかと感心。そこまでは騙される側の視点で見ていたのですが、3度目以後は騙す側の視点で見ているので、面白いのです。。。ニコラス役のマイケル・ダグラスの驚いたり、怒ったり、困ったり、見破ったりの表情が素晴らしく光り輝くのです。タクシーに閉じ込められて海に突っ込む場面の慌てっぷりは大笑いしちゃう場面に変わっています。
映画の後半で、ニコラスは最初に会ったCRSの担当者が役者なのに気付き、彼を銃で脅してCRSの本部に乗り込みますが、案内されたのはスタッフの食堂で、今までニコラスを騙してきた仕掛け人の人たちが一堂に会しています。あの人もあの人も仕掛け人だったのかと、最初から突きあわせをしたくなるような大謎解き場面が仕込まれているのも、制作者たちが何度か見直してからが面白くなる映画を作ろうとしていたフシがあるのです。そういえば始まりのタイトルがジグソウパズルなのも後になってぴったりくる感じなのです。仕掛け人たちを演じる役者たちも忘れられない顔をしています。それにしても、才能がある人が本気で作るとこんなものが作れるのかと感心します。監督はこういう映画を撮らせたら右に出る者がいないかも、デヴィッド・フィンチャー。